アキバ系文化を語るキーワード: 同人誌


 そもそも同人誌って何? どうやって買うの? どんな種類があるの? 代金の決済方法は?

 また、通信販売で買った同人誌の代金や送料は、「郵便為替」で送って欲しいというパターンが多いもの。だけど「郵便為替」ってなあに? 「定額小為替」って郵便為替の仲間? 「無記名で」ってどういうこと? 送られてきた郵便為替を換金するには?

などなど、同人誌にまつわる質問にどしどしお答えいたします。


同人誌=個人で発行した書籍

 「同人誌」というと、明治の文豪たちが自費出版していた文芸雑誌を連想する人も多いでしょう。おじいちゃんたちの俳句の同人誌やら、おばさんたちのミニコミ同人誌やらを知っている人もいるかもしれません。

 このように、「同人誌」の本来の意味は、同じ目的を持つ人達が集まって個人的に発行する雑誌のことです。しかし、アキバ系文化圏で「同人誌」とは、グループではなく一人で発行する書籍や、雑誌ではない単なる本も含めてそう呼ばれます。つまり、一般的な書籍の流通ルートを通らず、個人で発行し頒布している書籍一般を指して使われます。漫画が一番多いのですが、イラスト集、小説、紀行文、随筆などもあります。

 しかし、そういう意味での「同人誌」という言葉は知っていても、何となく敬遠している人が多いのではないでしょうか。そう、その原因の一つには、いかがわしい同人誌の蔓延があるかもしれません。この誤解を解くのは絶対必要ですから、不本意ながらも、「えっちばかりが同人誌じゃないぞ!!」という話題にも触れておくことにします。

 何年か前に、同人誌の、成人向け漫画問題がマスコミで扱われたことがあります。そのため、「同人誌=エロ」という間違った認識をしている人は多いものです。しかしこれは、アメリカのある雑誌に載った「インターネットの情報の8割はポルノ関連である」というような誤解と同じように、明らかな誤解です。

 また、「同人誌専門店」の正面には、肌色が表紙のほとんどを占めている本(意味は推して知るべし)が飾ってあることが多いですが、残念ながらこれも誤解の元となっています。

 実を言うと、このようなものは同人誌のほんの一部に過ぎません。ほとんどは即売会や通信販売等、書店を通さない別のルートを通って配布されていますし、もっともっといろいろなジャンルのものがあります。

 実際私も幾つか同人誌のサークルを知っていますし、学生時代の同級生にも作っている人がいますが、ほとんどが健全、純粋に楽しんでいるだけのサークルでした。「エッチな絵を描くと雰囲気が壊れるから、そういう絵は描きたくない」と言っている同人誌作家が、私の予想していたよりも意外と多くいたのには驚きですし、健全系アニメファンや同人作家が、エロ系同人作家と喧嘩しているのも、比較的よく見かける光景です。

 私自身は、「健全同人誌の発展を応援し、エロ同人誌は買わない」を長年のポリシーとしています。しかし私はそれでもまだ全体から見れば穏健派です。中には自分のお気に入り作品のエロパロディ同人誌が出ると声高に糾弾する過激なアンチエロ派もいるほどです。そこまで極端でなくとも、自分のお気に入りの作品や登場人物が汚されるのを不快に思っているマニアはむしろ多数派と言ってよいほどで、ほとんどいないと考えたら大間違いです。


同人誌を買うには

 一冊100円〜1000円くらい、平均500円くらいが相場だと思います。買い方ですが、

同人誌即売会

 一番有名なのが、言わずと知れた、おたくの祭典コミックマーケット(コミケ)です。夏と冬の年二回、東京ビッグサイトで開かれています。私も一度だけ興味半分に(?)行ってみたことがあるのですが、出店数のあまりの多さに、はじめての人は卒倒しそうなほど。World PC Expoなどの比ではありません、文字通り何万もの出店があるのです。

 あらかじめコミケカタログを入手して、行きたいブースをチェックしておくことをおすすめします。コミケカタログは漫画専門店(まんがの森、アニメイト等)や同人誌専門店などで事前に販売されているようですし、当日会場で入手することもできます。

 なお、「コミックレボリューション」「コミックシティ」など似たような即売会も数々開かれています。私は創作系オンリーの即売会「コミティア」には行ったことがありますが、ここは初心者にお勧めです。いわゆる「脂っぽいおたく男ばかりのムサい巣窟」なんだろうな、という先入観をもって行くと、意外に女性作者の比率が高いのには驚かされます。いわゆるオタッキーなタッチの漫画があまり好きでない人でも、絵やイラスト自体が好きな人ならきっと自分好みの作品が見付かることは、私が自信を持って保証します。それに、漫画以外にもイラストや写真集(猫の写真集など)やアクセサリーや小物(カレンダーなど)等がきっとありますから、買い過ぎに注意です! 私も目当ての漫画の他に、猫の絵本や大正ロマンなレトロムードのイラスト集やエッセイなど、ついついいろいろ買ってしまいました。

通信販売

 郵便で注文を受けているところがほとんどです。最近はホームページにカタログを載せ、電子メールで注文を受けているところもあります。コミケで買いそびれたものや、コミケに行く余裕のない場合非常に便利です。私も何度かお世話になりました。

同人誌専門店や古本屋の同人誌コーナー

 ジャンルが偏っているし、あまり種類が多くない上、お目当ての品を探すだけでも一苦労。店によっては一般向と成人向をゴチャ混ぜで売っていて、何だか買いづらい雰囲気があります。したがって私はパスしていますが……


注文しよう

 通信販売の場合、注文を封書で送ります。代金は前払いのこともあれば後払いのこともあります。中には家族の反対に遭っている同人作家(いわゆる「隠れ同人」)もいるので、はがきでの注文や、ましてや、りぼん付録のかわいい封筒を使ったりするのは遠慮しましょう

 電子メールでの注文が可能な場合は、その方が便利でしょう。

 蛇足ですが、同人誌カタログを請求する時は、切手を貼って返信先を書いた封筒(英語でSASE[セイス]と言います)を同封するのがエチケットです。


ポストは最大の難関

 もし家族に自分の趣味を反対されている場合、ポストに届いた時点で検閲が入る場合があるので要注意。できるだけ家にいるようにするか、危険が大きすぎるなら友達に頼んで住所を借りる、局留めにする、私書箱を利用するなどの方法があります。
 ほとんどの同人作家は、ちゃんと茶色の事務的な封筒で送ってくれるので、りぼん全プレみたいにかわいい封筒で送られてくる心配はありません。しかしながら、サークル名が入っていることが多いので、家族に「何かおたく関連の品を送られてきたんだな」と感づかれる危険はあります。あらかじめ念頭に置いておきましょう。


郵便為替ってなあに

 郵便為替を使ってみようを御覧下さい。


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