五十音・いろは歌


五十音

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
やいゆえよ
らりるれろ
わゐうゑを


* 「ゐ」「ゑ」は戦後に公布された現代仮名遣いに沿って書くときは原則として使いませんが、今でも例外として、人の名前や俳句・短歌など、伝統的な仮名遣いを尊重して書く際には使われます。

* なお、何百年も前は、「や」行の「え」は、「え」「ゑ」とは別の仮名として扱われていました。「や」行の「え」は、「江」を略した仮名が使われることもあります。


いろは歌

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす

漢字仮名交じり:
色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有爲の奥山 今日越えて
淺き夢見じ 醉ひもせず

* いろはがるたでは、上記四十七文字に加え「京」が加わります。「京の夢大坂の夢」とは「凶の夢大逆の夢」の意味という説も。

* 江戸時代のいろは組町火消では、縁起を担いで「へ」「ひ」「ら」「ん」の四字を除き、代わりに「百」「千」「万」「本」を入れて「い組」「ろ組」など四十八組に分けました。


天地の詞(あめつちのことば)

 「いろは歌」と同じく、かなを一度ずつしか使っていない歌です。

あめ つち ほし そら
やま かは みね たに
くも きり むろ こけ
ひと いぬ うへ すゑ
ゆわ さる おふせよ
えのえを なれゐて

漢字仮名交じり:
天 地 星 空
山 川 峰 谷
雲 霧 室 苔
人 犬 上 末
硫黄 猿 生ふせよ
榎の枝を 馴れ居て

* 「え」が二回出てきますが、片方は「あ」行の「え」、もう片方は「や」行の「え」です。


とりな歌

とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんがしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち

漢字仮名交じり:
鳥鳴く聲す 夢さませ
見よ明け渡る 東を
空色映えて 沖つ邉に
帆舟群れ居ぬ 靄のうち

* 「いろは歌」とは、広義には、いろは四十八文字を重複無く用いて作られた歌全般を指しますが、この「とりな歌」もそうで、明治時代に作られたとのこと。

* 是非、皆さんもオリジナルのいろは歌を作ってみましょう。文語詩や歴史的かなづかひの勉強になります。私もオリジナルいろは歌を作ってみたことがありますが、最初を格好良くまとめようとすると、後の方で使える文字がだんだん足りなくなってしまい、デタラメ言葉でお茶を濁したい誘惑に何度となく駆られるもの。こういう龍頭蛇尾と、粗製濫造は、よろしくありません。即席ラーメンじゃあるまいし、優秀ないろは歌がポンポンと簡単に生まれるわけがないのだから、作るならじっくり時間を掛けて良いものを作りましょう。あと、良い作品ができたからといって、いろは歌大好き誰かさんみたいに、よその掲示板にマルチ投稿するのは、止めときましょう……って余計な御世話でしたね、失礼。


戻る