尋常小学校 修身教典


 「修身」とは、礼儀、(正直が美徳であることなど)公衆道徳、孝行、および忠君愛国などを教える教科でした。 これは,あくまでも資料として掲載しているに過ぎません。 私はその思想にすべて同意しているわけでは決してありません
 第1〜3、25は賛否両論のあるところでしょうが、この修身教科書は全体的に天皇崇拝・忠君愛国的な色彩が他の修身教科書と比べ少ないように思います。

勅語 (修身の教科書の最初には必ず教育勅語がありました)

「新編 修身教典 尋常小学校児童用 巻二」 目次

だい一 きみはちよませ
だい二 じんむてんのー(一)
だい三 じんむてんのー(二)
だい四 にのみやせんせい(一)
だい五 にのみやせんせい(二)
だい六 にのみやせんせい(三)
だい七 にのみやせんせい(四)
だい八 もーりもとなりこーのいましめ
だい九 おまつのしんせつ
だい十 おたけのぎょーぎ
だい十一 さるとかに(一)
だい十二 さるとかに(二)
だい十三 さるとかに(三)
だい十四 たろーのしょーぢき
だい十五 おたけめくらをたすける
だい十六 小川たいざん
だい十七 もりらんまる
だい十八 からすのじまん
だい十九 しほばらたすけ(一)
だい二十 しほばらたすけ(二)
だい二十一 しほばらたすけ(三)
だい二十二 おたけのちょきん
だい二十三 たろーくひをおこす
だい二十四 きそくをまもれ
だい二十五 しらかみげんじろー


だい一 きみはちよませ

 きみは、ちよませ、やちよませ。

だい二 じんむてんのー(一)

 じんむてんのーは、わるものどもを、ごせいばつあそばされました。

だい三 じんむてんのー(二)

 じんむてんのーは、わがくにで、いちばんはじめの てんしさまで あります。

だい四 にのみやせんせい(一)

 にのみやせんせいは、おやを、たいせつに せられました。

だい五 にのみやせんせい(二)

 にのみやせんせいは、よるひる かせいで、おとうとたちを、やしなはれました。

だい六 にのみやせんせい(三)

 にのみやせんせいは、まいばん、よなべを しまった あとで、ほんを よまれました。

だい七 にのみやせんせい(四)

 にのみやせんせいは、たいそー なんぎして、おちぶれた いへを、おこされました。

だい八 もーりもとなりこーのいましめ

 もーりもとなりこーは、わが こどもらに むかって、「きょーだいは、なかよく せねばならん。」と、いはれました。

だい九 おまつのしんせつ

 おたけが、びょーきに かかりました。
 おまつは、いま、くすりを とりにゆきます。

だい十 おたけのぎょーぎ

 おたけが、おきゃくさまに、ぎょーぎよく、おちゃを あげてゐます。

だい十一 さるとかに(一)

 かにが、かきのたねを うゑました。
 たねが はえてから、せいだして そだてます。

だい十二 さるとかに(二)

 かにが、さるに いぢめられました。
 かにのともだちが、かにを いたはってゐます。

だい十三 さるとかに(三)

 かにのともだちが、いぢのわるい さるを、こらしました。
 さるが、こーくゎいして、ことわりを いひました。

だい十四 たろーのしょーぢき

 たろーが、あやまって、まどの がらすを、こはしました。いま、その ことわりを、いってゐます。

だい十五 おたけめくらをたすける

 おたけが、めくらの てを ひいて、しんせつに、みちを をしへて ゐます。

[修身教典巻二 第15]

だい十六 小川たいざん

 小川たいざんは、べんきょーな おかたで ありました。
 おほゆきを かまはずに、先生のところへ、けいこに まゐられます。

だい十七 もりらんまる

 もりらんまるは、しょーぢきな おかたで ありました。
 しゅじんの のぶながこーから、たいそー、おほめを うけられました。

だい十八 からすのじまん

 からすが、くじゃくの はねを、つけてゐます。
 くじゃくが、そのはねを、みな、ぬきとりました。

だい十九 しほばらたすけ(一)

 しほばらたすけは、すみやに ほーこーして ゐた とき、たくさん、ふるぞーりを あつめておいて、しゅじんに さしだしました。

だい二十 しほばらたすけ(二)

 たすけは、すみやに ほーこーして ゐるうちに、たくさんな すみくづを あつめました。
 のち、その すみくづを もらって、みせを ひらきました。

だい二十一 しほばらたすけ(三)

 たすけは、しょーぢきに、しょーばいを しましたから、そのみせが、たいそー、はんじょーしました。

だい二十二 おたけのちょきん

 おたけは、父母から もらった おかねを、ぎんこーに あづけました。
 おたけは、がっこーの ふしんのとき、その おかねを さしだしました。

だい二十三 たろーくひをおこす

 みちしるべの くひが、たふれて ゐました。
 たろーは、いま、ともだちと いっしょに、それを おこして ゐます。

だい二十四 きそくをまもれ

 たろーが、ともだちと、きそくを きめて、あそんで ゐます。
 きそくは、たいせつに まもらねば なりません。

だい二十五 しらかみげんじろー

 しらかみげんじろーは、いさましい らっぱそつで ありました。
 げんじろーは、てっぽーの たまに うたれても、いきが きれるまで、らっぱを ふいてゐました。

[修身教典巻二 第25] (注:死んでもラッパを口から離さなかったのは木口小平では?と思った方も多いのでは。 実は、その人物は当初、白神源次郎だと思われていました。 そして白神源次郎は軍神としてたたえられ、歌にまで歌われたそうです。 しかし、それが人違いであったことがわかったのは、後になってのことでした。)


 画像は「新編 修身教典 尋常小学校児童用 巻二」(訂正4版、明治35年)より。


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