融和資料第壱輯 文学博士 喜田貞吉氏述 融和促進
中央融和事業協会
此の小冊子は如何にして融和を促進すべきかということを主として説述したもので、所謂特殊部落民なるものは、決して普通部落民と筋の違ったものではなく、ただ昔の落伍者の或る者が、其の択んだ職業によって、当時の社会の迷信と、階級的意識の犠牲となったに外ならぬということを述べたに止まり、私の特に宣伝したいと思う所の、歴史的の説明にはあまり多く及ぶことが出来ませんでした。由って私は其のうちに、別に「所謂特殊部落の由来」とでもいう小冊子を発行して貰って、本書第六章に述べた所を更に敷衍して見たいと思うて居ります。本書を見て下さった方々、は必ず其の書をも読んで下さることを、今から希望して置きます。
大正十四年十二月二十五日 喜田貞吉識
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