「ハングル語」は存在しない

2001/03/09

「ハングル語」なる言葉をよく耳にする。しかし、「ハングル」や「ハングル文字」は存在するが、「ハングル語」なるものは存在しない。

朝鮮語(韓国語とも呼ばれる)がハングル文字を用いて書かれるのは確かだが、それを「ハングル語」と呼ぶのは、ひらがなを用いて書かれる日本語を「ひらがな語」と呼ぶのと同じである。

(朝鮮語はハングル文字しか使わないと誤解している人は多い。確かに現在では、日本語に例えるならカタカナだけの昔の電報みたいに、ハングル文字のみを用いて書く方式が主流になっている。しかし昔は日本語の漢字仮名交じり文と同じく、漢字ハングル交じり文がよく用いられたし、今でも一部で用いられている。日本語も朝鮮語も漢語が多く、漢語の同音異義語も多いので、漢字をむやみに嫌わず大切にして欲しいものだ。)

この「ハングル語」なる妙な言葉は、NHKの「アンニョンハシムニカ・ハングル講座」が諸悪の根元ではないかとにらんでいるが、これは「こんにちは・ひらがな講座」と称しているようなものである。

「朝鮮語」と称すれば民団(韓国系)の機嫌を損ね、「韓国語」と称すれば朝鮮総聯(北朝鮮系)の機嫌を損ねるとでも言うのだろうか。それならあの半島を日本語で「韓半島」と呼ばず「朝鮮半島」と呼ぶ人の方が圧倒的に多いのはなぜだろう(日本で伝統的に朝鮮半島と呼ぶ地域で用いられている言葉なのだから、「朝鮮語」「韓国語」どちらを取るかといったら、「朝鮮語」で十分だと私は思う)。

そこまで気を遣うとしても、「ハングル語」という呼び方、どうなのだろうか。せめて「朝鮮語」「韓国語」どちらとも取れる「コリアン」のほうがいい。

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