さあ、「無職」「引きこもり」の次は「三十路で独身」が差別される時代が来るぞ(1/4)

2004/09/14

不思議なことに、私の年齢前後の世代というと、周囲をちょっと見渡してみても、そして上にセンセーショナルなタイトルを付けた私も例外ではないが、三十前後なのに独身の人ばかりである。今はそれほど社会問題とみなされていないが、恐らく数年のうちに自称“識者”たちが「ポスト第二次ベビーブーム世代の病理」などとセンセーショナルなタイトルを付けて、にわかに問題にし始めるに違いない。そう私はにらんでいる。

私は、社会学ほどマユツバ理論が大手を振ってまかり通る学問はないと思っているが、そんなマユツバ理論やトンデモ理論をうんぬんする社会学者が登場する前に、この問題に関する私の見解を書いておこうと思う。なお、マユツバ理論については後述することとする。

なかなか結婚しない人が増えた理由は、決して一つではない。幾つかの複合的要因があるし、理由も個人個人それぞれ違う。しかし、「社会不安」と「結婚する意義を見出せない」、この二つが大きな要因ではないかと私は考える。

「社会不安」、これはご存知の通り、我々は社会人になった時点で不況の波に呑まれていて、就職するだけでも精一杯であった。就職内定取り消しに泣いた人もどれだけいただろう。就職すらままならず、フリーターや家事手伝いで食いつないでいる人も少なくない。いつリストラされて収入が不安定になるかわからない、あるいは今でも収入が不安定だというのに、ヨメさんもらって養う余裕があるかと考えると不安に襲われる、というわけである。結婚が生活を安定化させるどころか、生活不安の原因になるとしたら、誰も結婚したがらないだろう。

次に、「結婚する意義を見出せない」ことである。原因は人それぞれだろうが、そういう人にとって住みにくい世の中でなくなりつつある。まずは、昔ほど結婚しろしろと圧力をかけられなくなり、「結婚しない自由」が社会的にも容認され始めてきている。だから、「自分には結婚する気がないけど、周りがうるさいから、見合い結婚でも何でも、とにかく結婚すればいいでしょう」というケースは少なくなりつつある。仕事など他の自分の大切な人生目標のために精力を傾けたくて、あえて結婚しない人は昔も今も一部いるが、そのようなライフスタイルも昔よりは周囲にあまりうるさく言われなくなってきた。

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