“大麻は天然だから安全”か

2003/02/06

はっきり言おう。大麻解禁論者の主張している“大麻は天然だから合成薬物と違って安全”というのは詭弁である。

そもそも、合成だから害があって天然なら安全だというのは偏見であり、大きな誤解である。誰も天然だからといってフグ毒やトリカブトを好んで摂取しようという気にはならないだろう。たとえ天然であっても、人体に害を与える物質は結構多く、天然麻薬だからといって必ずしも安全とは言えないのである。いちばんわかりやすい例でいうなら、阿片は芥子(ケシ)から作られる天然麻薬だが、阿片の誤用が有害極まりないことは昔からよく知られている。

大体、大麻解禁論者は、天然の植物から作られたアルコールや煙草の害は認めるくせに、同じ天然の植物から作られた大麻の害は前述のような言い訳をして認めようとしないのだ。ここからして矛盾している。

確かに薬物は医療目的においては人間の役に立つ。しかし、薬物は用い方を誤ると大変危険な諸刃の剣であり、特に自分の精神をもてあそぶ玩具として誤用するのは危険なことである。医師が医療目的で麻薬成分を含む医薬品を処方する時には、薄められた必要最小限量を短い期間だけ服用するので、比較的御しやすい。しかし、トリップできるほど大量に摂取したり長期にわたって服用するなど、自己流で危険な用い方をするならば、もはや自分では御することのできない暴れ馬となって自分に襲いかかってくることになりかねない。言うまでもないことだが、麻薬・大麻・覚醒剤の所持や使用は法律によって厳しく制限されているので遵守すべきである。

(2004/11/13 以前、大麻を「麻薬」と書いていたが、厳密には間違いのため修正。明治二十二(1889)年発行の国語辞典「言海」によると「麻薬」とは「シビレグスリ」とあり、つまり、阿片やモルヒネのように麻酔作用のある薬物を指す言葉として元々用いられてきた語である。大麻は規制薬物であっても麻薬のような麻酔作用はないから、厳密には麻薬とは呼ばれない。大麻依存者共がこの間違いを指摘しながら「大麻は麻薬ではない」だから安全だみたいなことを言いたそうにしているが、ヒロポンは麻薬でなくとも危険なのと同じで、大麻も「麻薬」と呼ばれようが呼ばれまいが、危険があることに変わりはない、と、改めて釘をさしておく。)

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