「障害は個性」か

2003/02/12

何を勘違いしているのかと言いたい。障害は障害だ。欠陥だ。受け入れたくないのに受け入れざるを得ない、悲しい運命だ。「個性」だなんて、ちゃんちゃらおかしい。

障害が個性だというのが慰めの言葉になるものか。考えてもみろ、近眼の人に「お前の視力0.01の目は個性だ」と言えば慰めになるものか。交通事故に遭った人に「お前の複雑骨折は個性だ」と言えば慰めになるものか。花粉症の人に「春が来るたびに鼻水ジュルジュルはお前の個性」と言えば慰めになるものか。かえって失礼ではないか。

ただ誤解して欲しくないのは、身体に障害つまり欠陥があることと、人間の価値とは無関係だ。たとえ身体に欠陥があろうとも、ただネガティブに見て悲観するだけでなく、その欠陥ゆえの苦労を乗り越えて立派に生活している人を、どうして人間的に無価値という事ができようか。

私としては、身体の欠陥を「個性」などと呼んで、まるで良い特徴であるかのようにほめそやす態度はあまり好きではない。誰も好きこのんで欠陥を持っているわけではない。むしろ、それを乗り越えようと努力している態度をほめるべきではないだろうか。障害は個性ではないが、障害という試練はしばしば人を鍛錬し、立派な個性を磨き上げることがある。

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