第三章 國民の權利及び義務

第三十一條 何人も、法律の定める手續によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十二條 何人も、裁判所において裁判を受ける權利を奪はれない。

第三十三條 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、權限を有する司法官憲が發し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第三十四條 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに辯護人に依頼する權利を與へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正當な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその辯護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十五條 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押收を受けることのない權利は、第三十三條の場合を除いては、正當な理由に基いて發せられ、且つ捜索する場所及び押收する物を明示する令状がなければ、侵されない。

2 捜索又は押收は、權限を有する司法官憲が發する各別の令状により、これを行ふ。

第三十六條 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶對にこれを禁ずる。

第三十七條 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける權利を有する。

2 刑事被告人は、すべての証人に對して審問する機會を充分に與へられ、又、公費で自己のために強制的手續により証人を求める權利を有する。

3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する辨護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、國でこれを附する。

第三十八條 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不當に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第三十九條 何人も、實行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行爲については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

第四十條 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、國にその補償を求めることができる。

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