「トンデラハウス」は「ものみの塔」が作っていたのでは? という迷信について


 なぜ一部で流れていた噂ではスポンサーの「いのちのことば社」と犬猿の仲のところが「トンデラハウス」を作った事にされてしまったのか不思議ですが、まあ結論から言えばこの説は完全に間違いです。別に証拠を挙げる必要もないだろうけど念のため。

一、ものみの塔にはアニメを作る予算はないそうです。資料によると、ものみの塔がアニメ作品を作ったことは一度もないようです。ものみの塔のビデオカセットの目録には、当然例の聖書アニメ三部作はありませんでしたし、子供向けのビデオが登場したのすらつい最近のこと、しかもアニメではなく、せいぜい「ノアの箱船」のペープサート紙芝居程度が精一杯のようでした。機関誌の記事にはこうありました。

ものみの塔協会には,本物のアニメーションを作るのに必要な技術,資金,その他のものがないので,役者が演じる場面と絵とを組み合わせる方式が実行可能な折衷案でした。(『「ノア―神と共に歩んだ人」―ビデオが作られるまで』,「目ざめよ!」2000/03/08号,23頁)

二、絵柄にアメリカのニオイが感じられません。「トンデラハウス」の、日本のアニメ的な絵柄と、ものみの塔発行の機関誌や出版物のアメリカ的な写実画のテイストは、まるっきり違うように思います。それに、なぜ日本で製作したのでしょうか。ものみの塔は殆どの出版物や視聴覚教材を、米国製作のものの翻訳・出版でまかなっていて、日本で独自に製作することは、まずないようです。

三、聖書解釈が微妙に違います。ものみの塔発行の子供向け絵本「わたしの聖書物語の本」(1978年発行)と、「トンデラハウス」をはじめとしたアニメ三部作とは、描かれ方にかなり違いがあるように思います。前者は脚色をなるべく避けていましたが、後者は脚色ばかりで、現代人の男の子や女の子がストーリーを変えてしまうシーンまである有様でした。教理の解釈の違いも明白で、例えばイエスが殺されるシーンは、前者は一本杭に掛けられて殺され、後者は皆さんおなじみ十字架でした。また、前者は神の名「エホバ」が頻繁に出てきますが、後者は神様はエホバでもヤハウェでもなく名無しさんで、使っているのを全く見たことがありません。

四、最後に、ものみの塔はこのアニメを全く使ってないようです。逆に多くのプロテスタント教会では使われているようです。もし当事者なら使っていておかしくないはずですが、実態はむしろ逆で、今でも説教や日曜学校に使っているのは、むしろものみの塔/エホバの証人を異端視しているはずの他の教会なのです。これこそ、いわゆる「聖書三部作」アニメがものみの塔製作ではない、決定的な証拠です。

 私の推測ですが、このアニメの放映当時、ものみの塔発行の「わたしの聖書物語の本」という絵本が広く頒布されていたため、それと混同している人が多いのではないかと思います。確か1,200円だったと思いますが、信者でなくとも持っている人を本当によく見かけ、クラスに2,3人は持っているほど広まっていました。今日ではまさか信じられないと思う人も多いでしょうが、当時は確かにそんな感じだったのをはっきり覚えています。

 最後に念のため付け加えておきますが、このページの目的は、特定教派を宣伝するためでも、異端として批判するためでも、クリスチャンのコミュニティサイトにするためでもありません。あくまでも、聖書アニメ三部作の放送されていた時代背景を説明する為の情報を提供するためのものです。従って、アニメに関する情報や体験談や感想等の一般的な範囲を超えた、特定教派の宣伝または批判の類の掲示板投稿は歓迎されていませんのでご遠慮下さい。


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