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二種類の政府、二種類の漢字、多種類の文字コード

二種類の政府

 まず、この話を抜きには中国語の正式な漢字表記に二種類のものが混在し、今なお統一されていない理由は語れないだろう。

 現在日本で発売されている世界地図のほとんどには、中国大陸と台湾の間に国境線がない。これが建前。

 しかし本音はというと、実は、見えない国境線のようなものがある。中国大陸側が、中国共産党政府の治める中華人民共和国、台湾はというと、国民党政府の治める中華民国で、こちらは資本主義。

 中国が二つの政府に分裂してしまった原因は、第二次世界大戦後までさかのぼる。毛沢東率いる共産党軍と国民党軍との間で内戦が起こったが、結果は共産党軍の勝利。こちらが赤地に五つの星の旗の、中華人民共和国。国民党の蒋介石は台湾に亡命し、台湾で政権を握った。こちらが中華民国。

 建前としては一つの国だけど、実質的には、まるでかつての西ドイツと東ドイツ、北朝鮮と大韓民国のように政治的に分裂してしまっているのである。

二種類の漢字

 さて、漢字圏の多くの国では、漢字は「画数が多くて、覚えるのに時間が掛かる上、欧文のようなタイプライターも使えない」という理由から、漢字を廃止しようという動きが昔から見られていた。ベトナムは19世紀末に漢字を廃止してローマ字表記になったし、漢字ハングル混じり表記が用いられてきた朝鮮半島では、第二次世界大戦後、ハングルのみの表記が普及し、漢字はあまり使われなくなってきた。日本では「当用漢字表」が告示され、日常生活で使う漢字の数が制限されたが、「当用」と名の付けられたことからわかる通り、将来は廃止する予定であった。

 漢字廃止の風潮は、漢字を生み出した中国大陸でも起こっていた。話によると、中国は将来的に漢字を廃止し、ローマ字表記に切り替えるつもりだったらしい。しかしそれには段階を追わねばならない。とりあえず中国共産党政府は、従来の漢字の画数を減らした簡体字を公布し、当面その“単純で書きやすい”字体を使うことにした。現在では中華人民共和国やシンガポールで一般的に用いられている。

 しかし、恐らく政治的問題からか、あるいは伝統を守るという意味からか、台湾ではまだ簡体字が正式に採用されていない。台湾等で一般に使われている従来の漢字は、「繁体字」と呼ばれている。

 (台湾人はあの画数の多い正字体をいちいち手で書いているのか、面倒臭いだろうな、と思った君、もしかして自分では漢字の門構えを省略して書いてませんか。日本でも台湾でも中国本土でも、手書き文字には略字が多用されています。活字体と手書きの略字を別物として考えるのが台湾、活字体の美しさを犠牲にしてでも徹底的に手書きの略字に近づけて画数を減らしたのが中国本土、その中間が日本と言えましょう)

 このように中国語の表記には現在、「繁体字」(traditional Chinese characters;伝統的な中国語文字の意味)「簡体字」(simplified Chinese characters)の二種類が使われている。

 これは、日本語で例えるなら、正字体(いわゆる「旧字体」)と、略字体(我々が日常使っている常用漢字の書体)の違いに似ている。台湾では「國」「聲」「醫」「體」のような正字体(ただし、台湾では「旧漢字」とは呼ばない。台湾では現行の漢字書体であり、決して旧くないのに注意!)が使われていて、中国大陸では「国」「声」「医」「体」のような略字体が使われている、と説明すればピンとくるだろうか?

 ただ、簡体字では現在の日本の漢字よりももっと簡略化した字体を使っていたり、まだ簡略化していない漢字などもあり、常用漢字の書体とは一部異なっている。

 時々、北京語が簡体字で、広東語が繁体字、などと思っている人がいるらしいけど、それは間違いである。広東語を簡体字で書いてもいいし、台湾では北京語を繁体字で書いている。日本語に例えるなら、東京弁と大阪弁、どちらも正字体と略字体、両方で書けるけど、それと同じ。

多種類の文字コード

 繁体字を表現するのにもっとも標準的に使われているコードが、Big5である。

 一方、簡体字は、中華人民共和国の政府で定めた規格、GBコードが標準的に使われる。GBとはGuo Biao(国標)の頭文字である。MS-DOSやWindowsの内部コードや、ホームページなどでは、実際には日本語で言うEUCみたいにちょっと変形させたコードを使っている(1区1位〜87区94位までのコードは、区・位にそれぞれA0hを足し、上位バイト・下位バイトにしている)。

 GBコードなのに繁体字で表示できるというソフトもあり、コードの違いと文字の違いは厳密な意味では違う。しかしGBコードは主に簡体字を念頭に置いて、Big5コードは主に繁体字を念頭に置いて文字が配列されているため、普通はGB=簡体字、Big5=繁体字という組み合わせでフォントが用意されている。

 また、最近ではUnicodeも使われ始め、MSIE/Netscapeのバージョン4以降で対応しているが、ホームページではそれほど多くは見かけない。


中国語・韓国語ページを見る方法

 Microsoft Internet Explorer 3.0以降を使用している場合は、話は早い。米国マイクロソフト社のInternet Explorer home pageに行き、"Multilanguage support"をダウンロードしてインストールすればよい。

 これは日本語版Windows95+MSIEだけでなく、英語版でも使用できる。つまり、英語版Windows95環境でも、日本語・中国語・韓国語のページが見られるというわけである。しかも、TrueTypeフォントが付属しているので、フォントを別に用意する必要がない。というより、拡張キットのファイルサイズのほとんどは、TrueTypeフォントが占めているのだが……。

 IE3.0の場合、各言語用の拡張キットのファイルサイズは以下の通り:

Chinese (Traditional) 中国語(繁体字) 4,145,232
Japanese 日本語 2,518,608
Korean 韓国語 2,319,944
Pan Euro ヨーロッパ諸言語 1,416,224
Chinese (Simplified) 中国語(簡体字) 2,895,952

 なお、中国語には繁体字と簡体字の二種類の拡張キットがあるが、コード体系から全く異なっているため、簡体字版で繁体字のページを見ることはできないし、その逆も不可能である。

(この文章を書いた1996年当時、「中国共産党政府はインターネット規制を和らげたというものの、中国本土の簡体字のサイトはまだまだ少ない。:-P とりあえず繁体字版を入手しておけば、台湾などほとんどのサイトを見ることができる。」と書いたが、今では中国本土のサイトもずいぶん増えたものだ。最近では中国のある大学が開発した二足歩行ロボット「先行者」が話題になったのも記憶に新しい。)

 なお、日本語Windowsの場合、いったん中国語・韓国語の拡張キットをインストールしたら、Netscapeでも付属フォントを使って中国語・韓国語ページを見ることができる。繁体字版の場合、"MingLiU"という名前のTrueTypeフォントが作成されているので、Netscapeのフォント設定で設定しておけばよい。簡体字・韓国語も同じ方法で見られる。


中国語サイトを作る方法

 中国語・韓国語対応のHTMLエディタと中国語・韓国語IMEは必需品である。実はMicrosoftから、「Global IME」という名前で、Internet Explorerのオプションとして出ており、それをインストールすれば、Frontpageのバージョン2000以降(Frontpage Expressは不可)で中国語・韓国語ページを作ることができる。

 さて、日本語・英語・中国語のページ切り替え時に、対応ブラウザなら文字コードセットも自動的に切り替える方法も、HTMLで用意されている(MSIE3.0以降なら対応している)ので、参考にしていただきたい。

英語 <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=iso-8859-1">
日本語(JIS) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=iso-2022-jp">
日本語(Shift JIS) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=shift_jis">
日本語(EUC) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=euc-jp">
中国語(繁体字/Big5) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=big5">
中国語(簡体字/GB) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=gb2312">
韓国語(EUC) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=euc-kr">
韓国語(ISO) <meta http-equiv="content-type" content="text/html;charset=iso-2022-kr">

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