耳掃除グッズの迷信


 最近「耳掃除グッズ」なるものが流行っています。蜜ロウでできた円錐型のもので、とがった方を耳に差し込み、反対側から火をつけるというものです。
 店では「耳あかがとれる」という触れ込みで売られていますが、本当でしょうか?

 各社から類似の商品が発売されているようですが、これはその一つ、T-Links Technology社の「オッタマゲーション」というものです。日本語を意識しているのか、なかなかふざけた商品名です。

 使い方は、右の写真の通りです。円錐の片方に火をつけ、もう片方を耳に差し込むというものです。なお、耳に差し込む側にはガーゼを当てるようにと日本語の説明書に補足説明があり、小さなガーゼも付属しています。

 私はこれを実際に使っているのを見たことがあります。最後まで燃えた後、残った円錐を開くと、ちまたで言われている通り、確かに黄色っぽくて、少し粘りがある粉の固まりが出てきました。なるほど、これは確かに耳あかかもしれない。

 しかし待てよ、本当にこれは耳あかなのだろうか? もしかしたら、ただのロウの燃えかすなんでは?


 疑問に思ったKan-chanは、早速実験。実験方法は非常に簡単。耳に当てず直接燃やしてみます。

 燃えてくるにしたがって、下(耳に当たる側)から、まるでたばこのように、煙がもうもうと出てきました。左の写真や下の写真にあるガーゼは、そこにあてがったガーゼです。その煙というのがねばねばしていて、テーブルに付くと、ロウソクの燃えかすのようになかなか取れません。


 燃えること約5分。円錐を開いてみると、こんなものが付着していました。耳にあてがったわけじゃないのに、耳に使ったときと同じく、「耳あか」みたいなものがびっしり付いています。

 この写真はスキャナで撮影したのですが、ガラスにロウの粉が付いてしまい、取るのが大変でした。


 もうおわかりかと思いますが、このように、「耳あかが取れる」というのは全くのウソです。それどころか、耳の中に煙、それもなかなか取れないロウの粉の煙を入れているのです。

 「オッタマゲーション」を使った方はお気づきかもしれませんが、耳に当てるガーゼ、円錐の方には粉がたくさん付着していましたが、耳側には全然付いていなかったのではありませんか? もし本当に耳あかが取れるのなら、ガーゼの耳側の面の方にたくさん耳あかがついていて当然で、ほとんど付いていないというのはかえっておかしいのです。

 「オッタマゲーション」の箱には「耳垢の清掃を本来の目的とするものではありません」と断り書きの付いたシールが貼ってありました。リラックス用のものだというのです。それでも耳の中をロウの粉だらけにするのは、ちょっといただけませんね。



戻る