歌の文語表現集
特に戦前の歌などで使われた文語的な単語を中心に収録しました。
一応辞書で確認してあるものの、万一間違いを発見したら是非教えてください。
あ行
あまねく【遍く、普く】 すべてにわたって。すみずみまで。広く。
あれかし【有れかし】 あってほしい。
いかづち【雷】 かみなり。
いかで【如何で】 どうして。どのようにして。
いかに【如何に】 どうして。どのようにして。
いざ さあ。
いざや さあ。「〜、〜、見に行かん」(日本古謡「さくらさくら」)
いと 非常に。たいへん。
いにしへ[イニシエ]【古】 むかし。
いはほ[イワオ]【巖】 岩。大きな岩。
いやま・す【弥増す】 いよいよ増す。ますます多くなる。
いらか【甍】 屋根瓦。
う・む【倦む】 嫌になる。飽きる。
おのが【己が】 自分の。
おはす[オワス] いらっしゃる。
か行
〜が 〜の。[用例]おらが村。我が故郷。
かく【斯く】 こう。このように。(参考)「こう(かう)」は「かく」の音便化したもの。
かな【哉】 俳句や短歌などの終わりに使用。
かばね【屍】 死体。
かひな[カイナ]【肱】 腕。
きぬ【来ぬ】 来た。「夏は〜」(唱歌)
きょくじつ【旭日】 朝日。
くすしい【奇しい】 不思議である。
くろがね【黒金、鉄】 鉄。
げに【実に】 実に。本当に。「〜小春日の、のどけしや」(唱歌)
こがね【黄金】 金。
こち【東風】 東風。
ごと【如】 〜のような。
ごとし【如し】 〜のようである。
こよひ[コヨイ]【今宵】 今晩。
こよなき この上ない。比類ない。「〜喜び」
さ行
さをとめ【早乙女】 田植えをする女。「〜が裳裾ぬらして、玉苗植うる」(唱歌)
さとき【聡き】 聡明な。思慮深い。
さとし【聡し】 聡明である。思慮深い。
さらば【然らば】 それならば。それでは。
ざる 〜しない。
されど【然れど】 それでも。しかし。
じ 〜しない。〜しないつもりだ。
すめら【皇】 接頭語。天皇の。
すめらぎ【天皇】 天皇。
ぞ 強調語で文末に使用。
た行
たが【誰が】 だれの。
たぐひなき[タグイナキ]【類なき】 類例のない。
たける【長ける】 (1)高くなる。長じる。(2)たけなわになる。[用例]年長けし者
たまふ[タモー、タマウ]〜なさる。
たれ【誰】 だれ。「あの子はたあれ、誰でしょね」(童謡)
たれ 〜であれ。〜であるように。
ちよ【千代】 千代。
ちとせ【千年】 千年。
つつがな・い 無事である。「〜しや友垣」(唱歌)
つはもの[ツワモノ]【兵】 兵士。「夏草や 〜どもが 夢のあと」(芭蕉)
と・く【疾く】 急いで。
とまや【苫屋】 苫(菅、茅などを編んだもの)で屋根を葺(ふ)いた、粗末な家。「煙たなびく〜こそ」(唱歌)
ともがき【友垣】 友達。「つつがなしや〜」(唱歌)
な行
なほき[ナオキ]【直き】 まっすぐな。ゆがんでいない。
なが【汝が】 あなたの。
などか【何どか】 どうして。なぜ。
などて【何どて】 どうして。なぜ。
ななそぢ【七十歳】 七十歳。
なみ・する【蔑する】 ないがしろにする。あなどる。
なり【也】 〜である。
なれ【汝】 あなた。
なんぢ【汝】 あなた。
のたまふ[ノタモー]【宣う、曰う】 おっしゃる。
のり【則、憲】 法律。おきて。
は行
はらから【同胞】 兄弟姉妹。特に、同じ母から生まれた兄弟姉妹。[参考]同胞は当字で、腹自[ハラカラ]から来ている。
ひねもす【終日】 一日中。「春の海 〜のたりのたりかな」(俳句)
べし 〜するべきである。
ま行
まじ 〜するまい。
ませ 〜してください。「花を召し〜、召し〜花を」(歌謡)
ますらを【益荒男】 (1)雄々しく強い男。立派な男。←→たおやめ(2)武人。もののふ。(3)狩人。猟師。
まなこ【眼】 目。
まめやか【忠実やか】 誠実なこと。心のこもっていること。
み【御】 尊敬語。
みぎは【水際、汀、渚】 水ぎわ。陸地の、水に接したところ。
みさを【操】 貞節。
みそぢ【三十歳】 三十歳。
むつ・む【睦む】 仲良くする。むつまじくする。
めでる【愛でる】 愛好する。
もだ・す【黙す】 だまる。口をきかない。
ものかは ものの数ではない。何のその。
もののふ【武士】 武士。
もろびと【諸人】 多くの人。
や行
やよ (呼びかけの言葉)やあ。
やすき【安き】 心が穏やかなこと。平穏。
やそぢ【八十歳】 八十歳。
よみ・する【嘉する、好する】 (<良し+み)良しとする。ほめる。
よも【四方】 四方。
よろづ【万】 ことごとく。すべて。
よろづよ【万代】一万代。
ら行
わ行
わ・する【和する】 仲良くする。調和する。(注意)「忘る」と混同しないこと。
わだつみ (1)海の神。(2)海。
わらべ【童】 子供。
をのこ【男】 男。
をみな【女】 女。
ありそうな?誤解
・唱歌(?)「ふるさと」の「うさぎ追いし、かの山」は「うさぎ美味(おい)し、かの山」や「うさぎ追い、鹿(しか)の山」ではない。
・童謡「赤とんぼ」の「負われて見たのは」は「追われて見たのは」ではない。背負われて見たという意味。それにしても当時は数え年十五で嫁に行ったとは(!)
・唱歌「仰げば尊し」の「今こそ別れめ」は「今こそ分かれ目」ではない。
・日本古謡「さくらさくら」の「いざや、いざや、見に行かん」は、聖書の人物イザヤとは関係ない。なお学校教科書版は伝統的な歌詞と異なり、「さくら、さくら、花盛り」となっている。
・童謡「赤い靴」で女の子を連れていってしまうのは「異人さん」であって、「曾祖父(ひいじい)さん」や「いい爺さん」ではない。
・合唱曲「モルダウの流れ」の「緑濃き丘に、年経(ふ)りし古城は立ち」は、「都市降りし」ではない。年を経た古城が立っているという意味。
参考文献
大辞林 第二版/松村明 著/三省堂
広辞苑 第四版/岩波書店
言海 十五版(昭和四年発行。明治二十二年初版)/六合館
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