片手落ち 「手」=「仕事」の意味

 「片手落ち」は、障害や事故で片手のない人に対する差別を連想させるのでタブーとすべきである、との迷信が一部に広まっているが、これも誤解である。

 「片手落ち」は「片手」と「落ち」の合わさった言葉ではなく、「片」と「手落ち」の合わさった言葉であるとするのが、現在定説とされている。この「手落ち」であるが、国語辞典の「言海」はこう説明している。(原文カタカナ書き)

て-おち(名) |手落| 仕業の仕残し。しおち。てぬけ。おちど。脱誤 遺失

 「手際がよい」や「手を抜く」、あるいは「これはうまい手だ」の「手」のように、「手」とは文字通りの手のことだけでなく、比喩的に仕事や手段のことを表すこともある。「うまい手だ」が文字通りの手を食べると美味しいという意味でないのと同じく、「手落ち」の「手」とは文字通りの手でなく「仕事」の意味での手のことである。

 つまり、「手落ち」とは「仕事」+「落ち」、つまり仕事をし残してしまっている状態のことを表す。「片」+「手落ち」で、片方の仕事をし残している、とは、つまり、片方に対する配慮が欠けている、不公平、の意味となるのである。

 なお、「片」+「手落ち」ではなく、やはり「片手」+「落ち」なのだとする説もあるが、この「片手」も文字通りの片手ではなく、片方の仕事という意味である。これも同じく「片方の仕事をし残している」状態のことであり、やはり同じ結論を導き出せる。


首頁へ